CASE.1

うすーーーい紙だけど、印刷できる?

お客様の種類:和紙会社ご利用事業の種類:特殊印刷

一般的な話をさせていただくと、フツウの印刷会社はちょっと特殊な紙の印刷はやりたがりません。イレギュラーな対応で時間も労力もかかるし、それに見合った売上も期待できないから。極めてうすい紙なんて、フツウの印刷会社ならご遠慮ねがいたい仕事です。

でもある日、某会社から西村謄写堂に連絡がありました。
「和紙に印刷はできますか?」
わ、わ、わ、和紙? それは強敵だ…

本来であれば、「ウチではちょっと…」と言葉を濁して退散するのが大人の対応。でも、きっと連絡してきた会社さんは色々な印刷会社に問い合わせては断られて…という徒労を繰り返しているはず。

他ができないなら、ウチがやろうじゃないか!

そんな西村イズムがフツフツと湧き上がり、和紙への印刷という前代未聞の挑戦が始まりました。

とにかく和紙というのは薄い。薄さこそが和紙の美しさなのですが、印刷工にとって、これほど厄介なことはありません。印刷会社で用いられるオフセット印刷機というのは、紙をエアーで吸い上げて機械に給紙します。

それが和紙となると、吸い上げもうまくいかないし、静電気の影響も受けて、バラバラに…印刷機に和紙がまとわりついて最初は見るも無惨なことに。

こいつは難敵だ…

でも諦めたらそこで試合終了。
必ずやれると信じて、来る日も来る日も印刷機を細かく調整し、バラバラになる和紙と格闘しました。そして試行錯誤の末に、納得のいく印刷が仕上がったのは1年後。

和紙にくっきりと刷り上がったときは喜びよりも、安堵感の方が大きかったかもしれません。その後、このうす紙の印刷技術は、業界に大きなインパクトを与えることになりました。

全国から印刷業界が集まる展示会で、うす紙の印刷技術を披露すると、多くの人が「こんな事ができるのか!」と驚愕。とある印刷工は、印刷された和紙を見て「俺もやってやるぞ!」と情熱をたぎらせていました。
この和紙への印刷技術のおかげで、展示会の来場者投票では、
西村謄写堂が全国一位の栄冠に。
和紙の印刷も普通に取り扱うようになり、全国から問い合わせがありました。

そこで気づいたのは、これまでうす紙の印刷に対応できるところがなくて
困っていた人たちが想像以上にいた、ということ。
印刷の可能性を広げることで、多くの人の助けになることができる。

だからこそ、西村謄写堂は、無理だ!と門を閉ざすのではなく、
できる方法を探す印刷集団でありたいと思います!